有限を突破せよ!/吉岡ペペロ
 

に自転車で行くねん
そう言ってしまったからなあ
彼女と後輩を裏切れない気持ちに無理矢理なって
ついに港区に突入したのだった
毎日営業車でこの界隈をぐるぐる回っているのに
自転車のスピードで見る風景は全然ちがった
ちがうというよりも車では見落としてしまう景色が目に入ってくるのだった
東京タワーまでの道は分かっていたけれど
営業車で通いなれた道を選んでスピードを落として走った
昼間のじぶんの轍が見えるような気がした
彼女は家に着いただろうか
ふいになんの脈絡もない言葉が口をついて出た

有限を突破せよ!
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