おんなたちの朝/
瀬崎 虎彦
流星に穿たれて
君は人魚になった
まだ名前を持たない朝に
瑠璃色の鱗を散乱させながら
尖ったガラスの破片で
静脈をなぞると
霧に包まれていた避暑地の白樺の
腕から熱い血が流れ出した
僕の嗅覚は鋭くなる
生肉を口にしてはいけないのだ
僕の触覚は鋭くなる
生死を意識してはいけないのだ
キリキリ歌う残酷な歯車に合わせて
美辞麗句がティンパニを打ち鳴らす頃
まだ名前を持たない朝は
太平洋の上をゆったり泳いでいる
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