白い扉/小川 葉
 
 
 
日々が声になって
声にならないものは
声にならない
紙の上の文字になって
出せなかった
手紙のように
ここにある
まだ捨てずに
取っておいていいですかと
やはり声にならずに
紙の上の文字になる
どうしよう
手紙が終わらない
 
 
+
 
 
白い扉をあけると
牛が一頭
川の土手を歩いてる
牛飼いのおじさんは
知らないうちに
紙になっている
牛が歩くと
足跡は文字になって
どこまでも続く
声にならない気持ちを
伝えるために
 
 
+
 
 
扉をあけたまま
眠ってしまったら
いくつかの動物が
扉の中へ
入って
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