風の吹く街/キエルセ・牧
クが折れ選手の膝に刺さったらしいスティックが
刺さったままフェンスに激突した選手が 彼 のホームステイ先の
ホストファミリーのお気に入りの選手でその選手を皆で観に行った試合で
それが起こったという話それが悲惨だったという話
* * *
尻から脇にかけて冷えてきたので
私 は立ち上がった
皮膚にめり込んだ破片を丁寧につまみ
私 の体に呼吸を合わせた
歩き出すことに意味を感じなかった
よく理解できたことが分った
風 が吹いた
私 が消えた
彼 と 嘘 は残った
左手を上げた 私 の影が
街のコンクリートブロックに残った
09.5.19
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