ガーゼ/蒼木りん
恋人を攫われないように
わたしを睨む目
それは未来には盲目な若い女の目
あっしには
係わりあいのないことでござんす
昨日と今日
午前と午後の
状況の変化
生まれるもの死ぬもの
手に入るもの失うもの
1と10の違い
不意に流されて
もがいて
それは夢と気が付くと
どんなときにも
わたしはわたしのままで生きたいと願う
君らが
たとえば
得体が知れないという目で
わたしを見ても
少しの恩を忘れずに返すような
いまは
すぐに薄皮が剥けてしまいそうな
傷を庇いながら
遠い先を見つめる
まるで
遙か山並みの青い陰を見るような
明日には終わるかもしれないし
日常の一部になってしまうのかもしれないし
何かが変わるときに
子供の頃に恐れたような
雷か鳴ればいい
天気雨の虹が見たい
わたしは
ガーゼになれたらいい
傷が癒えるまで
護ってあげられる
捨てられるものであってもいいから
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