カラスが鳴く朝/小川 葉
 
 
 
カラスが鳴く朝が
今朝もやってくる
朝になれば
れいのいい調子で
いつものように
あの声が聞こえてくる
はずだった

としたら?

とでも言わなければならないような
カラスが鳴かない朝が
朝でございます
と言わんばかりに
とつぜん
やってきた

としたら?

カラスはどこへ
行ってしまったのでしょう
そうして
わたしもどこへ
行ってしまったのでしょう

そう思うには
まだ早い
カラスが鳴く朝が
今朝も
ちゃんときてくれた

母の実家に
はじめて泊まって
目を覚ましたあの朝と
おなじようなふりをして
 
 
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