また明日などに何も/
高杉芹香
午後3時。
窓から見える景色は
彼女を孤独にする。
懇願するほどに彼女が会いたいと願った人は
この憂鬱な日
彼女に会いに来なかった。
彼女は
病室を出る私が
また明日ね、と
振り返っても
ただ曲を書いていた。
彼女は
また明日などに
何も
賭けていなかった。
あるのは
今
このとき
だけだった。
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