また明日などに何も/
高杉芹香
彼女は言った。
この娘の唄って。
一聴するにうまく聴こえるかもしれないけど。
低音が雑ね。
最も悲しいことに
心が入ってないわ。
初めて聴いたくせに。
なんとあっけないことを。
彼女は席から立ちその店を去った。
けど。
きっと
その娘と
縁も
ゆかりもない人間が
初めて聴いて
感じたことは
正直なことばなのかもしれない。
あれから3ヶ月。
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