スティング/梶谷あや子
新しいドライヤーだけれど
白くてやわらかい
両輪がふたつに割れる
夢に見たんだよ
耳の後ろの痛さを
口ばしる
側に
置いておいてくれる人の大切さで
判ろうとするのは
恥ずかしさや憤りに対してあんまりで
よびりんのボタンが届かないから
僕は君をもうやめたい
黒い手袋に隠してさ
生温かい
飴色を受け取った日が
チューブの外に溶け出して
見慣れた昼休みから
反射を締めだしているよ
枕に感じた傷口の
ぬるつきをそのまま写し取った
音楽が
僕に向かって流れてくる
熱くて怠い風
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