しめったシーツ/百瀬朝子
 
どこへでも行ける
空を飛ぶことも叶えられる
さよならをしたあの人にも もう一度
触れることだって許される
乾いたシーツのにおいがする

天気のいい日に 散歩するみたいに 目的もなく
目の前の草花には目もくれず
遠い日を見つめる
どこかの空で カラスが鳴いた

胸が つんと 詰まる
つっかえて取れない この思い
吐き出すには 足りなくて
だから もうすこし
大切にして 育ててみよう
朝が来る
しめったシーツを 干しにゆこう
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