海底杉並区2009/猫道
語が先に進まないじゃないかと一人つぶやいたその時、突如として水飛沫が上がり、
砂浜が盛り上がり、巨大な急行列車の突端が顔を覗かせる。
夜空を照らす黄色いライトはかぐや姫みたくキラキラと輝き、海底特急ミネルヴァ号
だとわかる。長い長い特急列車の車体は、鮮やかな光の筋をつくって、フジテレビを
突っ切り、あっという間に遥か彼方へと消えていきました。
切符はもっていなかったけど、それに乗ろうと握り締めていた絵葉書の消印は
海底杉並区。誘っておいて迎えに来ない父に恨み言を言うも届かず、
返事を溶かしても東京湾は黙りこくっている。
ハッとして原付飛ばして、ずいぶん足を踏み入れてなかった
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