Rへえへくくらへら/kauzak
 
夏の縁側に腰かけて
入道雲が真っ青な空に湧き上がるのを
見ている

背後の部屋は暗くて
ひんやりとしていて

もらい物の生菓子を食べようと
手を伸ばした瞬間

チリリ

(一陣の風に啼いた風鈴の音にさらわれる

 裏返る世界
 宇宙から地球を眺めている
 漂っている

リン

現実に引き戻される
僕は手にした生菓子の封を開けようとして
固まっていたようで

袋を破ろうと再び動き出した手が
目に飛び込んできた文字に
縫い付けられてまた止まる

Rへえへくくらへら

入道雲はさらに育ち続けて
もうすぐ零れてしまいそうだ
世界の秘密も
冗談のような製造番号も
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