血潮/
ひとなつ
5時間目、書道
君の隣で「愛」を書く
君も隣で「愛」を書く
愛を込めて書きなさい、と先生
ハネ、トメ、ハライ
ハネ、トメ、ハライ
君が愛を込めた、右手の筆先
そのハライの一筆にしたたる墨汁の一滴が、
悪戯な生き物のように
私の半紙を汚す
浸透する、染み込む、そして汚す
「あ、ゴメン」
「いいの」
君の血潮
君が誰を愛していても、
受けとめたのは私なのだから
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