五月の天使たち/
瀬崎 虎彦
小さく咳をして
教室に吸い込まれる
革靴だけが吸い込まれずに
僕のいない廊下に取り残される
「大学の勉強などいったい何になるか」
これは本質的な問いなので歓迎されない
チョークで汚れた僕の指と
ジャケットだけが証人台に立つだろう
それでも僕は 五月の天使たちよ
きみたちが今日もこうして教室に
足を運んでくれることを
とても とても 嬉しく思う
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