前衛の女/
蘆琴
潤いの艶やかに
甦りはじめた頃
光も海も砂も人も愛も
その美しさを羨んで
柔らかい肌の奥へと
毒を窃かに注ぎ
たちまち女は毒気に当たり
子を宿し、身をやつし
血は死の病を帯び
眸は紫の激情に覆われた
灰白色の砂に寝転んで
女は破滅を見詰めている
灰色のビルの群れから
女ひとり
逃げ出してきた
太陽の汁の染み込んだ肌に
倦みきった心をあてがって
白砂に埋もれてまた眠る
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