歴史/
小川 葉
わたしは布団の中で
息を飲んだ
なすすべもなく
血が流れるであろう
人が生まれるであろう
そこから
わたしはやって来た
なにひとつ持たず
生まれたままの姿で
わたしは布団の中で生まれた
その時のことを思い出した
記憶があるように
わたしは
わたし自身になって
息を飲み
なすすべもなく
血を流し
人になって生まれるために
その中へ
入っていった
繰り返されてきた
歴史のように
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