里標/瀬崎 虎彦
―――仮定1
詩はながくなればなるほど
自己弁護になって
だから失恋や絶望や
怒りや哀しみを表現するのにむいてない
―――仮定2
詩はことばのつらなりで
人はことばによって生きている
詩は人のためにつくられ
人のために発せられる
―――仮定3
僕が詩を作ったとして
それは僕(そう、この僕)にむけられる以外に
ほかの人たちの耳目にふれることも
ありうる(それはもう、おおいに)
―――仮定4
人間のために詩を書いていく
失恋や絶望や あるいは
怒りや哀しみの器ではない
よりよく生きるための詩を
―――結論
僕の詩は(たとえば)
あなたにむけて書かれている(はずだと思う)
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