私をえがいた停滞/ひとなつ
屋上に通じる小さな箱の中
灰色のドアの冷たさで頭を冷やす
窓から差しこむ小さな光は、
座り込んで眺める私を映し出す
光は、なぜここに在るのだろう
それはきっと、
此処にいる私を上書きしにきたのかもしれない。
描きかけのリトグラフは
未完成のまま
何色にも染まらない
ただ捨てられるのが怖くて
時間の経過で差しかたを変える光の刷り込みによって
少しずつ、形を変えていく・・・
心地よい風の音は
きっと一歩、私が外に出れば
焦燥の風の音に変わってしまうだろう
此処は屋上に通じる小さな箱の中
モノクロという言葉が似合う場所
白と黒、光と影
外から差し込む白と
黒い箱の中身
それを隔てる灰色のドアの冷たさで
私は頭を冷やす
戻る 編 削 Point(2)