湖/ふるる
湖面にさざ波が立って
透明な魚がうまれた
それは夏の風
開け放した窓に
大群となって飛び込んでくる
君は薄い身体を持つ
果物をひときれ口に入れる
今朝もあまり食べないんだね
病んで君はますます美しい
透明な魚が頬をなでるけれど
君の胸はおとなしいまま
ゆうべ、夢を見たんだよ
君は少し熱が高かったみたい
どんな夢を見たの?
広い広い湖の岸に僕は立っていて
湖面は何故か青白くて
しばらくして炎だと気づくんだ
湖一面の青白い炎
けれど君の乗っているボートだけは燃えていない
僕はそこに行きたいけれど行けない
おそろしい光景だった
そう、とうなづいて君は
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)