分裂する/いっと
ホームに立っていると
不意に背中を包む非道い手の感触
音が消失していき
皮膚が離れていく
トン
と、背中を押されると
バランスを崩した肢体は
地上を離れていった
近づけば身体は肉塊に向かう
と、耳が戻る
名も知らぬ幼き子が私を打つ。顔のひしゃげた教師が私を打つ。親は私を見なくて、私の立つ地は沈む。時間だけが私と共に歩いてくれたが、実は平行線の悲しみ。
気付くとホームに立っている
二つの光が鮮やかな線分となって
暗闇を少しずつ溶かしていく
前に私が立っている
私の引き攣った右足が
コンクリートを滑る
私が手を差し延べると
私はこなごなになり果つ
戻る 編 削 Point(0)