99のアイロニーのために/フクスケ
転調する夢の中に
あなたは また
夢の中のあなたを
訪(オトナ)う
澱んだ夜に
薄く流れる血の
膜を 刺のような
視線で突き刺す
と あなたの表情は
わづかに歪む
あなたは 黄昏のように
はじまった
すでに分かっていることを
あなたは語りたがらない
あなたの強すぎる口調のために
あなたはためらう
ひとつの
痛みを共有するために
冷たいあなたの掌を
ふりはらう
あなたの頬
あなたの中の
他人
のために
否(ノン)
と 口ごもる
とっくの昔に
してしまった告白を
もどかしく
くりかえす
追憶のために
告白する
あなたのためか
それとも
自らのためにか
より他人になった
あなたを
視線のうちに
すえるために
不安にかられて
まばたきをする
あなたを待つ
あなたは遠退く
反復を拒む
放心した
たくさんの言葉を
訳もなくまきちらす
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