砂漠の中の砂時計/残響の廃墟/海里
本当の砂漠ではないけれど
ここに来て安らかだった
ひとはとうに滅び終わっていて
そのことを嘆いたり
悲しんだりしなくて良かった
さらさらと砂時計
言の葉の砂こぼれる
掬い上げては
わたしの手のひら
両の手で
片手で
零れ落ちるものたちを
慈しんでいると幸せだった
残されたものたちだけを
慈しんでいられて幸せだった
いつか
だれかがコトンと
この世界を置き換える日が来るなら
その日まではずっと
繰り返し繰り返し
さらさらと飽きることなく
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