「戦争」の虚偽と「正義」の再構築−「存在の彼方へ」を読んでみる18/もぐもぐ
 
これまでレヴィナスの宗教哲学としての側面を指摘してきた。
「存在(生)」=「戦争(闘い)」と捉えるレヴィナスは、それに抗する「存在の彼方」を探し求める。そしてそれは、「宗教」の形で獲得されるものなのである。

レヴィナスの語る宗教は「超越」との接し方一般である。その意味では、伝統や慣習で蒙昧に流れがちな宗教を、そのまま受容しているわけではない。「哲学」理論の形を取った、「宗教」の復権・再生という形だろうか。

気持ちや感情で争いを止められるというのは、宗教である。お金も労力も出さずに、あるいは力も組織もなしに、争いを止められるというのは、宗教である。制度化された力と権威で争いを止めるのが
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