揺さぶる生命/笹子ゆら
(わたしは 生まれたかったのだろうか)
(笑ってしまいたくなるほど高慢な嘘を)
(吐くことであなたは生きているけれど)
半分だけ満たされた胎内で目が覚めた
夢か現実か の判断は つかないけれど
確かめるのもばかばかしいので
それはそれでと 安心するふりをする
アーチ状に作られた思い、あなたのためよと嘯いて
本当は多分 あなたの気持ちなんて関係ない
わたしが主役になればそれでよかった
生きているということを実感すら出来れば
酷く、満足で
はじめから 誰か のためには生きていない
やさしくされるせいで増えた湿疹も
時々欲す
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