記念写真のような/水町綜助
 
初夏の風の流れかたは
グラウンド横にもえる雑木林の
緑の揺れかたであらわされるらしい
美しく思いすぎないよう
美しく思いすぎないよう
丘を登る道を歩く
ふたつ影は千鳥格子に
新緑と樹間を刻んでひらく
ひらかれた
緩やかに
カーブする
道の先
今日の
向こうから
始まる想像の毎日
どちらが黒鍵だか
白鍵だかわからないけど
鍵盤は刻んでいくよ
鳴る音は
重なって
いくらでも
あるし
日々はさらに
譜面もないまま
弾かれ続けるし
譜面にする必要もないし
終わりもないから
曲ですらないし
だから音だろう

広いんだこの視界いっぱい
いちめんの窓
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