海について/一ノ瀬 要
(海、について
わたしが書こうとすると決まって
おとうさん、おかあさん、砂、星、アーシュリー、を書くことになる。)
アーシュリー、
わたしがにぎる手綱からするりとぬけだし、
波と、かわいた砂の、ちょうどまんなかあたりを、
勢いよくかけだす。
ながい耳をたなびかせて、ちいさな、そして、けなみのととのった足。跡が、消えてゆく。
知ってるかい、アーシュリー、砂が、鳴いているんだよ。
遠くなった、姿に、つぶやいた、おとうさん、あの日。
ほんとうだ、砂が、鳴いてるね、ざあざあ、ちっとも、嬉しそうじゃ、
ない、ね。
七色のオウムが、しぶきのひとつひとつ、から、わた
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