オカリナの吹く森/乱太郎
どこから
ともなく
流れてくる
なつかしい調べ
さえずる小鳥も
枝の上で目を閉じ
一匹のシマリスは
頬を膨らまして
クルミをそっと地面に置く
(・・・・・・
誰もいないはずなのに
人の影さえ見当たらないのに
・・・・・・)
透けた肌の小さな川も
控えめに渡ろうと
ときおり
何かしら?と
アユが飛び跳ねて
水面が打ち鳴らしている
生い茂った樹海
陽射しが白い幕となって垂れ下がり
老いて崩れたマツの大木には
濃緑の苔が新しい命を生やしていく
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