砂漠の中の砂時計/書架の星座/海里
仄ぐらい
図書館の書庫で
あまた題名たち灯りなさい
抜け出して来たりしなくていいから
背表紙に身をあずけたまま
そこで瞬きなさい
かつて星々を
幾つもの星座につないだように
ひとはどうしても何かを
つづり続けずにはいられなかったけれど
託された意味や
物語や
何がしかの美しさは
ちかちかと瞬くためには重すぎるだろう?
文字たちはもう
ひとのことも
ひとから預かったもののことも
忘れていいよ
そこにまだ何かがあるなら
いつか誰かが
また勝手に持っていくだろう
君たちだけを残して
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