荒地にて/徐 悠史郎
‘Or with his nails he'll dig it up again !
‘You ! hypocrite lecteur !----mon semblable,----mon frere !’
もう犬を近づけないように、あれは人間の味方
でないとまた屍体を爪で掘り返すだろうからね!
きみ!偽善の読者!――わが同類、――わが兄弟!
(T.S.エリオット「荒地」より)
つまり、作中「きみ!」と遠くから呼びかけられるわたしたちは、この大文字で記された「犬」と、いままたじゃれあっているのではないだ
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