貞操帯/Tama
だ。
「それも、ダーメ。両方結婚してから」
厳しいなぁ。
「なぁ、俺たちどうやって出会ったんだっけ?」
彼女の膝枕に体を預けながら、そう尋ねた。
「えっと、いつだっけ? 確か冬だったのは覚えているわ」
彼女は、真っ直ぐとした感情をいまいち読み取れない表情で、窓の外を見つめながらそう答えた。
冬だったっけ?俺はそれすらも頭の片隅から忘れていた。どうやら幸せだと俺は必要以上に忘れっぽくなるようだ。
彼女はその表情のまま言葉を続けた。
「確か、そう寒い雪の降った日だったわ。あの日私が公園で震えているとビニール袋を手にしたあなたが、私の前に現れた。
あのあなたの姿は今でも覚えている
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