真空蒸着 1.01/竜門勇気
ントが
冷えていくような悴むような動きで真空度はさらに上がっていく
ヒーターは赤熱したまま窓から室内を照らしている
650wのそれほどでもないが、測定子の白い光も俺に光を放っている
さらにチャンバー内で回転する、冶具に収まったプレーナシリコンウェハは
全てを反射してきらきらと輝いている
真空蒸着機の中は熱と光の世界だ
そして真空度がターゲットを達成し
チャンバーの温度が条件を満たしているのを確認し
俺はエミッターアッセンブリに電圧をかける
プログラム制御された電子ビームがALインゴットの表面を液状化させていく
全くいつものことだが、電荷した瞬間のO.Lにはうんざりだ
放出された分子が一瞬真空度を低下させるたびにひやひやする
冷却系やハースローテーション周りのリークが有ったら何もかもやり直しだ
電子ビームの形状を見ると、ちょうど理想といえる大きさだ
レートも落ち着いている
スリット板とクリスタルに異常が無ければ
きっと次にお目にかかるときは
俺の表情もお前も綺麗に輝いてるだろう
そう!例えリペア品だったとしても!
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