Born To Win [ride]/プテラノドン
 
 執拗にケツを追い回すホモのパトカーを振り切るための
逃げ道としては最適だなと思った。
百足のように枝分かれする住宅地を抜けて 
僕は夜空を染める工場に立ち寄った。そこに
自転車に乗って見回りをする作業員がいないものかと。
もしくは、母親が経営する薬局に来る常連客の話による
夜勤に現れる異国の若い作業員は今夜も、
配管を通う蒸気に頭をあてて寝癖を治しているものかと。
そして、おそらくその客が話していたように
事務所脇に止められたままの、パンクした自転車のタイヤは
当分治されないだろう。というのも、
タンクに溜め込まれた雨音が夜通し囁いて
野良犬や野良猫を寄せ付けなかったから
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