4月11日の懺悔/高杉芹香
十年先もそばにいてほしい。
死ぬときは泣いてほしい。
そう思っているけれど。
だけど。
一緒には暮らせない。
生活になって
日常になってしまったら
あたしはきみを大切に想えなくなるから。
上野公園の脇。
走らせるバイクの後部座席から葉桜を見た。
「ねぇ。葉桜になってるよ。」って叫んだら
あいつは
静かに
「春が終わっちゃうね」って言った。
ごめんね。
傷つけて。
ごめんね。
永遠を約束できなくて。
4月11日。
あたしは
初夏の風を頬に受けて
罪なる愛に懺悔した。
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