河口の沈船/北村 守通
 
座礁した
廃棄された
和船の上に
鳥は立つ

乳白色の水面を
じっと見つめている

座礁した
廃棄された
和船から
鳥は飛び立つ

船は再び
ひとりぼっちだ

乳白色の水面が
ゆっくりと
船を覆う
やさしく
冷たく
故に
温かく
船を覆う
船は夢をみているのか
船は夢をみることすら忘れるほどに
深い眠りについているのか
船をかじっている
プランクトンやら
海草だとかの
その音が
響いてきたから
鳥は
飛び立ってしまったのだろうか
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