超躊躇/
小川 葉
あの夏の日の
電話ボックスの中
受話器を持ちながら
あと一桁ダイヤルを
回せば届く
思いがあった
あの夏の日は
静止したまま
僕は僕の海に溺れ
窒息している
何を躊躇していたのだろう
妻宛ての無言電話が
今も時々
かかってくるそうだ
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