背中の空/小川 葉
 
 
 
見つめてると
雲が流れてきて
君の背中は
いつしか空になっていた

飛べない空が
どこまでも続き
続かないところで
君は思い巡らせている

地上から叫んでも
届かない
声は心の中で
無情に木魂する

日が落ちて
夜が訪れると
背中に星が瞬く
いくつもの
葛藤のように

翌朝
君の背中には
一筋の
飛行機雲が残ってる

何かを決心したように
語りだす
これまでのこと
これからのことを

残された星が
ひとつだけ
東の空からのぼる

君は僕を
何度も許し
何もなかったように
新しい朝を迎える
 
 
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