幽霊/夏嶋 真子
 

ての桜はたった一人のわたしが 人によってつながれ続けた夢」
 
「夢?」
 
「わたしの命は萌え続ける あなたよりもずっと長く 
 あらゆる場所にわたしは咲く 次の春にも あなたの内にも
 それでもわたしが儚いのは わたしが人の夢だから」
 
少女はそっとくちづけて 最後の薄紅の風にのせ私を地上へと帰した
 
 
一瞬の微睡みから目覚めると ソメイヨシノは知らん顔でたたずんでいたが
私の内なる桜が満開になって笑った
 
 
 
※ソメイヨシノは種子では増えない (ソメイヨシノが生える種は現在存在しない)
各地にある樹は、全て人の手で接木や挿し木などをして増やされたものであり
全てのソメイヨシノは元をたどれば同一の一本に繋がる 
ソメイヨシノの寿命は60年といわれている
 
 
 
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