遠景/tomtom_poem
 
日も落ち
かすかな赤みを帯びた
山の稜線は
長く横たわり
うすいベールが覆った
やわ肌のぬくもりであり
頭をあずけたいふくらみあり
――母の抱擁ではけっしてない
いわば倒された女体

桜ちる春なのに
慣れぬ暑さが上衣をかかえさせた
息苦しい満員電車をおりて
飢えて
顔あげたとき

つつむ つつまれる

やさしいオーラの山々
つつまれ ぬくまる男
悪い手は
傷つけ うがち、
傷つく
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