ガラスの目玉はなお黒々と 烏鳴かずに むくろをつばむ ささくれた嘴 朱に染めて 過ぎし唄声 かすかにきこゆ 朧な月よ 頬染めよ 柿の若葉の柔らかな 木の香まといて いずこにいくや 黄檗の月よ ここや来たれよ 春の御酒を酌み交わそうや ちらり ちりちり ゆれる波 浮かぶ笹舟 だれが乗る 曙色の 雲のまに 浪漫ガラスの酒をくむ 琥珀のしずく 舌の端を しびれしびれてまた酩酊 ああ、花の酒 春の酒 あけぼのの酒 夜の酒 さくら さくら ああ さくら 花びら溶かして また酩酊