「春霞」/広川 孝治
っていた
会場に入るあなたの家族
僕ではない人に向けられたあなたの笑顔
判りきっていたことだったけど
映像で見たときに
僕の心はねじ切れるように痛んだ
それから僕が
年越しを一緒に過ごしたいだの
初詣に二人で行きたいだの
わがままを言い出して
あなたは僕を避け始めた
そう
あなたは僕を避け始めたんだ
春の訪れと共に
暖かくなってゆくけれど
僕たちの間は
っていうか
あなたの温度は
どんどん冷えていったね
僕が求めれば求めるほど
あなたは僕から離れてゆく
掴もうとすればするほど
あなたは僕に苦しめられる
想えば想うほど
二人が苦しくなるのな
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