一里塚/遊羽
 
一里塚 風の中
城への路も野に埋もれ
春も過ぎ 秋も過ぎ
季節も朧な筺の中

宵闇の紐ほどけ
人は流れて散り散りに
窓の下引きずられ
寒さの庭に花もなく

枝のない木を眺め
蝉はいずこと狼狽えて
車塚 下馬の辻
世情の渦が曲がりゆく

邪な追従に
正義の人は待ちぼうけ
星のない空の下
茜に燃えて一里塚

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