100万回のちの桜/さき
 

何度も言ったのに
聞こえないふりして
また遠ざかって行くんだね


春って

嫌い
桜が咲いても
一緒に綺麗だねっていう
あなたがいないし
それでも一番先に
あなたに桜が咲いたから
一緒に見に行こうって言いたくなるし


ほかに好きな人がいるって
100万回言われたのちの桜でも
私はやっぱりあなたと見たい
でも
その時にはもうしわくちゃになって
抜けた歯の隙間から
今日の風みたいな息を吐いて
泣くんだろうね


よしときゃよかった
でも
駄目だった
桜は綺麗だった
でも
駄目だった








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