100万回のちの桜/さき
同じ朝が来るんだと
指差した標識
その通りに進めない靴を
投げたほうがいいって
4月の風は
あまりにも余所余所しく
忠告していった
何度も曲がったような気がした曲がり道
その先に誰かがいるような気がしていた
全部私の作り上げたものだったって
踏み外した階段
力一杯の反動
そんな夢を夜毎に見ては
夢よりはましな現実にため息をつく
もうすぐ5月病だと
日々のストレスという名を隠れ蓑にして
私は今日もただ一つの欲求不満に
身を焦がす
そう
欲しいものはたったひとつ
綺麗なものや
美しいものは
手に入らないから
その代わりにあなたが欲しいって
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