「水妖記」(ウンディーネ)/フクスケ
ウンディーネの
こころの中の
森には
小川が流れている
古い
悲しい
物語が
赤い糸の輪のように
ぐるぐる廻る
騎士とニンフの
終るために
始まる
物語
水界の定めに
ウンディーネの
流した
毒の涙
騎士との
重なり合う
こころの愛と
からだの死
森の中の
騎士との
出会いさえなければ
こころなぞ
欲しがらなければ
流さなかった
思い通りにならずに
絡み合う
糸のように
ウンディーネは
涙を流すことしか
出来ない
あまりに深すぎる
ウンディーネのこころが
いのちを
終わらせるほどの
悲しみの涙を
強すぎる愛で
毒に変える
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