輪廻する、夏/望月 ゆき
1
水溶性の喧騒に混じり入る
マーブル状の
夜の鳴き声
脈が終わって、それでもなお
時は余る
2
疎林のまばらを
記憶で埋める
蔓はどこまでも
遠く伸び
驟雨のあとの
光合成
放出、また
放出
3
極暑の下の午睡
夢で
細胞が無意識に
誰かを愛し
するとそれは人間の姿になり
それから
悲しみがうまれる
4
爆撃機が
見知らぬ高い空を行き
その下で蝶は
無邪気に白く跳ねる
本当のことを話すたびに
言葉の
腐敗がすすむ
5
永住したいのに、夏は
今も座ること
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