輪廻する、夏/望月 ゆき
 

水溶性の喧騒に混じり入る
マーブル状の
夜の鳴き声

脈が終わって、それでもなお
時は余る




疎林のまばらを
記憶で埋める
蔓はどこまでも
遠く伸び

驟雨のあとの
光合成

放出、また
放出




極暑の下の午睡

夢で
細胞が無意識に
誰かを愛し
するとそれは人間の姿になり
それから
悲しみがうまれる





爆撃機が
見知らぬ高い空を行き

その下で蝶は
無邪気に白く跳ねる


本当のことを話すたびに
言葉の
腐敗がすすむ




永住したいのに、夏は
今も座ること
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