チャイルドロック/山中 烏流
一向に開く気配がない
なんだかもやもやするので
とりあえず
ひとしきり泣いた後
ダッシュボードに隠されている
某週刊少年誌を引っ張り出して
読みながら
待っていることにした
しばらくの後
暗くなってきたことに気付き
天井のライトを
ぱちん、と付けて
また
もう何度目か分からない忍者漫画に
視線を落とす
真っ暗になってしまった、というのに
まだ
誰も帰らない
***
いつのことだったか
妹が
私の隣で寝ていたときだろうか
父は私を車外に下ろした後
扉の側面にあるつまみを捻り
いつも通り
勢い
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