渦雫/
砂木
歌の缶詰がみつかった
黒く水を吸った
砂浜の海揺れる昼間
味を知らない白い鳥が
つついても 食べられないから
不機嫌に おいていく
黒く夜を吸った
砂風の渦過ぎ去る木陰
のまれて 逃れて
散っていくつもりなのに
ひとつたの枝のように
からまるしぶき
親しむ 雫
きけないものが
あると思うからきこえる カラの
うたえなかったものの 缶詰
戻る
編
削
Point
(10)