渦雫/砂木
 
歌の缶詰がみつかった
黒く水を吸った
砂浜の海揺れる昼間

味を知らない白い鳥が
つついても 食べられないから
不機嫌に おいていく
黒く夜を吸った
砂風の渦過ぎ去る木陰

のまれて 逃れて
散っていくつもりなのに
ひとつたの枝のように
からまるしぶき
親しむ 雫

きけないものが 
あると思うからきこえる カラの

うたえなかったものの 缶詰
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