一人の夜/doon
 

 海は
 夜

 波打ち際の湿った海岸線をゆっくり
 舐めるように人類に拝聴できない声で
 泣いているのだという

 壁の向こうから聞こえる
 小さな隙間風の音も
 向こうで誰かが泣いているのだという

 月明かりに満たされる一人の孤高は
 こうして昇天してゆく
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