嘘についての断片/
 



「甘い」

あなたのいれてくれた
コーヒーは
飲めば飲むほど 
のどが渇くのです

もっとくださいもっとくださいと
求めているばかりで
私は一日中
コーヒーを飲むことしか
できないのです









「ありがとう」


優しい人たちに謝りながら暮らしていると
いつの間にか周りに誰も居なくなっていました

床一面を埋め尽くした
「ごめんなさい」を見渡した
彼女にはもう
散らかった部屋の掃除しか
することが残っていませんでした


長い長い時間をかけて
長い長い間言えなかった言葉を口ずさみながら
いろんなごめん
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