[タイムマシン]/東雲 李葉
 
て尽きるまであの頃の僕を何度でも。

日々を何十周とするうちに僕は微かな違和感を覚える。
機械のように正確に同じ時は繰り返されていく。
新しい言葉も表情も誰も実行してくれず、
未来を知ってる僕だけが退屈を感じて一人でいる。
タイムマシンはまだ現われない。帰る未来もないけれど。
ジオラマの教室は狭いのに雑な作りがよく目につく。
昨日と同じ話をしている親友。同じタイミングで笑い声が起こる教室。
卒業式が終わる直前に場面はくるくる巻き戻り、
決まってお昼休みの笑い声が絶えない時間へ。
何十周も何百周も変化を拒み変わらぬ時を。

新しく出来たアイス屋さんに行きたいね、と大好きな親友と話していた。
3ヵ月も前の短いメールが今更になっていとおしい。
未来の僕はどうしているだろうか。
大人になりたがっていた僕は本物の街で暮らしているのか。
あるいは所詮僕だから精巧に作られたジオラマの街で、
同じように過去に捕われて粗末な劇を演じているかもしれない。
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